建設業許可を取得するためには、営業所ごとに専任技術者(営業所技術者等)を配置する必要があります。しかし、「自分の資格で要件を満たせるのか」「資格がなくても実務経験で申請できるのか」「専任技術者が退職したらどうなるのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
専任技術者は、建設業許可の取得だけでなく、許可を維持するうえでも重要な要件です。そのため、制度を正しく理解し、要件を満たしているか事前に確認することが大切です。
この記事では、専任技術者(営業所技術者等)の役割や要件、必要な資格・実務経験、変更届の手続きまで、行政書士が分かりやすく解説します。
建設業許可の専任技術者(営業所技術者等)とは?
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに一定の資格や実務経験を有する技術者を配置する必要があります。この技術者が、従来「専任技術者」と呼ばれていたものです。
現在の建設業法では名称が変更され、「営業所技術者等」が正式名称となっています。しかし、「専任技術者」という呼び方が広く浸透していることから、現在でも一般的には専任技術者と呼ばれることが少なくありません。
建設業許可を取得・維持するうえで非常に重要な要件の一つであるため、その役割や要件を正しく理解しておきましょう。
専任技術者とはどのような役割なのか
専任技術者(営業所技術者等)は、営業所において請負契約の適正な締結や履行を技術的な面から支える役割を担います。
具体的には、工事内容に応じた技術的な判断や、見積り・契約に関する技術的な確認などを行い、適切に工事を受注・管理できる体制を確保するために配置が義務付けられています。
そのため、建設業許可を取得する営業所には、申請する業種ごとに要件を満たした専任技術者(営業所技術者等)を配置しなければなりません。
現在は「営業所技術者等」が正式名称
令和5年1月1日に施行された建設業法の改正により、「専任技術者」の制度名称は「営業所技術者等」へ変更されました。
名称は変更されましたが、営業所ごとに一定の資格や実務経験を有する技術者を配置するという制度の基本的な考え方に大きな変更はありません。
そのため、行政庁の資料などでは「営業所技術者等」と表記されていますが、インターネット上や実務では現在でも「専任技術者」という名称が広く使われています。本記事でも、「専任技術者(営業所技術者等)」という表現で解説します。
建設業許可の専任技術者(営業所技術者等)になるための要件
専任技術者(営業所技術者等)になるためには、申請する建設業の業種ごとに定められた資格や実務経験などの要件を満たす必要があります。
要件は一般建設業と特定建設業で異なるため、自社が取得を予定している許可区分に応じて確認することが大切です。
国家資格で要件を満たすケース
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、指定された国家資格を保有していることで満たせる場合があります。
例えば、施工管理技士や建築士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士など、申請する業種ごとに認められている資格が定められています。
ただし、資格によって担当できる業種が異なるため、保有資格が希望する業種に対応しているか事前に確認する必要があります。
実務経験で要件を満たすケース
国家資格がなくても、一定期間の実務経験によって専任技術者(営業所技術者等)の要件を満たせる場合があります。
実務経験として認められる年数や内容は、学歴や保有資格の有無などによって異なります。
また、実務経験を証明するためには、契約書や注文書、請求書などの資料が必要となることがあるため、証明書類を準備できるかも重要なポイントです。
一般建設業と特定建設業では要件が異なる
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、一般建設業と特定建設業で異なります。
一般建設業では、国家資格または一定の実務経験によって要件を満たせるケースがあります。
一方、特定建設業では、より高度な技術力や指導監督的な実務経験などが求められるため、一般建設業よりも要件が厳しく設定されています。
そのため、特定建設業許可を取得する場合は、自社が要件を満たしているかを事前に確認することが重要です。
専任技術者(営業所技術者等)になれる資格一覧
専任技術者(営業所技術者等)になるための資格は、建設業の業種ごとに建設業法で定められています。
すべての資格がすべての業種に対応しているわけではないため、取得したい建設業許可の業種に対応した資格を保有しているか確認することが重要です。
建築・土木・電気・管工事など主な資格
専任技術者(営業所技術者等)の要件を満たす代表的な資格には、次のようなものがあります。
- 一級・二級建築士
- 一級・二級建築施工管理技士
- 一級・二級土木施工管理技士
- 一級・二級電気工事施工管理技士
- 一級・二級管工事施工管理技士
- 電気工事士
- 技術士
- 電気通信工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 消防設備士(一部業種)
このほかにも、業種ごとに認められている国家資格があります。
保有資格によって申請できる業種が異なるため、資格名だけで判断せず、対応する業種まで確認することが大切です。
資格がなくても専任技術者になれるケース
国家資格を持っていなくても、一定期間の実務経験によって専任技術者(営業所技術者等)になれる場合があります。
例えば、指定学科を卒業している場合は必要な実務経験年数が短縮されることがあり、学歴によって要件が異なります。
また、実務経験として認められるためには、実際に工事へ従事していたことを客観的な資料で証明する必要があります。
実務経験の証明は建設業許可申請の中でも特に重要なポイントとなるため、契約書や注文書、請求書などの資料が残っているか事前に確認しておきましょう。
専任技術者の実務経験とは?
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、国家資格だけでなく、一定期間の実務経験によって満たせる場合があります。
ただし、単に建設会社に勤務していただけでは実務経験として認められるわけではありません。申請する業種に関する工事へ実際に携わっていたことや、その内容を客観的な資料で証明できることが重要です。
実務経験として認められる内容
実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上の経験をいいます。
例えば、現場での施工や施工管理、工程管理、品質管理、安全管理など、建設工事に直接関わる業務が対象となります。
一方で、営業や経理など、工事そのものに直接関係しない業務は、原則として実務経験には含まれません。
実務経験を証明する書類
実務経験で専任技術者の要件を満たす場合は、実務経験を客観的に証明できる書類を提出する必要があります。
提出書類は申請先や個別の状況によって異なりますが、契約書、注文書、請求書、工事請負契約書などが証明資料として求められることがあります。
実務経験を証明できる資料が不足していると、要件を満たしていても認められない場合があるため、早めに確認しておくことが大切です。
実務経験でよくある注意点
実務経験による申請では、経験年数だけでなく、その内容や証明資料も審査の対象となります。
また、複数の会社で積み重ねた経験を合算できる場合もありますが、それぞれについて証明資料を準備しなければなりません。
「長年建設業に携わっているから大丈夫」と自己判断せず、実務経験として認められる内容かどうかを事前に確認しておくことで、申請をスムーズに進めることができます。
専任技術者(営業所技術者等)に関する変更届とは?
建設業許可を取得した後も、専任技術者(営業所技術者等)に変更があった場合には、変更届の提出が必要になることがあります。
変更届を提出しなかったり、専任技術者が不在の状態を放置したりすると、建設業法上の問題となる可能性があります。変更が生じた際は、速やかに必要な手続きを行いましょう。
専任技術者が退職した場合
専任技術者(営業所技術者等)が退職した場合は、後任となる営業所技術者等を配置できるか確認することが重要です。
後任者がいない状態が続くと、建設業許可の要件を満たさなくなるおそれがあります。
退職が決まった段階で、後任者の選任や必要書類の準備を進めることをおすすめします。
専任技術者を変更する場合
専任技術者(営業所技術者等)を別の方へ変更する場合は、変更届を提出するとともに、新たな営業所技術者等が要件を満たしていることを証明する必要があります。
資格によって要件を満たす場合は資格証など、実務経験による場合は経験を証明する資料など、状況に応じた書類を準備します。
変更前に、新たな担当者が要件を満たしているか確認しておくことが大切です。
必要書類と提出期限
専任技術者(営業所技術者等)の変更届では、変更届出書のほか、変更内容を証明する添付書類の提出が必要になります。
また、提出期限は建設業法で定められており、変更があった日から2週間以内に届け出なければなりません。
必要書類は変更内容や申請先によって異なる場合があるため、事前に確認したうえで期限内に提出することが重要です。
専任技術者(営業所技術者等)に関するよくあるご相談
専任技術者(営業所技術者等)については、建設業許可の取得時だけでなく、取得後の運用についても多くのご相談をいただきます。ここでは、特によくあるご質問をご紹介します。
他社と兼務できますか?
原則として、他社の営業所技術者等との兼務はできません。
営業所技術者等は、担当する営業所において常勤し、その職務を適切に行うことが求められています。
そのため、他社で営業所技術者等や同様の専任性が求められる立場に就いている場合は、兼務が認められないケースが一般的です。
複数の営業所を兼任できますか?
原則として、一人の営業所技術者等が複数の営業所を兼任することはできません。
営業所ごとに営業所技術者等を配置する必要があり、それぞれの営業所で適切に職務を行える体制が求められます。
複数の営業所を設置する場合は、それぞれの営業所に要件を満たす営業所技術者等を配置する必要があります。
常勤であることは必要ですか?
はい、営業所技術者等は原則として営業所に常勤していることが必要です。
常勤性は建設業許可の重要な要件の一つであり、勤務実態などについて確認される場合があります。
非常勤や名義だけの配置では要件を満たさないため、実際に営業所で勤務していることが求められます。
一人親方でも専任技術者になれますか?
はい、要件を満たしていれば一人親方でも営業所技術者等になることは可能です。
個人事業主として建設業許可を取得する場合、自らが営業所技術者等となるケースも少なくありません。
国家資格や実務経験など、申請する業種の要件を満たしているかを確認しましょう。
専任技術者が退職したら建設業許可はどうなりますか?
営業所技術者等が退職した場合は、速やかに後任者を配置し、必要な変更届を提出する必要があります。
後任者を配置できず、営業所技術者等が不在の状態が続くと、建設業許可の要件を満たさないこととなり、行政上の対応が必要となる可能性があります。
退職が決まった時点で、後任者の選任や変更手続きを進めることが重要です。
専任技術者について行政書士へ相談するメリット
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、資格や実務経験、申請する業種などによって判断が異なります。
「自社の資格で要件を満たせるのか」「実務経験として認められるのか」と悩まれる方も少なくありません。行政書士へ相談することで、申請前の不安を解消し、スムーズに建設業許可の取得や維持を目指すことができます。
要件を満たしているか確認できる
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、一人ひとりの経歴や保有資格によって異なります。
行政書士へ相談することで、保有資格や実務経験が要件を満たしているかを事前に確認できるため、申請後に要件不足が判明するリスクを減らすことができます。
必要書類を漏れなく準備できる
実務経験による申請では、契約書や注文書、請求書など、さまざまな証明資料が必要になることがあります。
行政書士へ依頼すれば、状況に応じた必要書類を整理し、漏れのない申請書類を準備できるため、書類不備による手戻りを防ぐことにつながります。
変更届まで継続的にサポートを受けられる
建設業許可は取得して終わりではありません。
専任技術者(営業所技術者等)の変更や退職があった場合には、変更届の提出などの手続きが必要になります。
行政書士へ継続的に相談することで、許可取得後の変更手続きや更新まで含めてサポートを受けられるため、安心して建設業を営むことができます。
行政書士法人Besideの建設業許可サポート
専任技術者(営業所技術者等)の要件は、建設業許可の中でも特に判断が難しいポイントの一つです。
「この資格で申請できるのか」「実務経験として認められるのか」「変更届は必要なのか」など、不安を抱えたまま申請を進めてしまうと、手続きが長引く原因になることがあります。
行政書士法人Besideでは、専任技術者(営業所技術者等)の要件確認から建設業許可の申請、取得後の変更届まで一貫してサポートしております。
お客様の資格や実務経験、会社の状況を丁寧に確認し、建設業許可の取得に向けた最適な方法をご提案いたします。
また、必要書類のご案内や申請書類の作成、行政庁への提出手続きまで対応し、お客様が本業に集中できるようサポートいたします。
「専任技術者になれるか分からない」「実務経験で申請できるか確認したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。 一人ひとりの状況に合わせて、分かりやすく丁寧にご案内いたします。
まとめ
専任技術者(営業所技術者等)は、建設業許可を取得・維持するために欠かせない重要な要件の一つです。
要件を満たす方法には、国家資格による場合と実務経験による場合があり、申請する業種や一般建設業・特定建設業の区分によって必要な条件が異なります。
また、建設業許可を取得した後も、専任技術者(営業所技術者等)の退職や変更があった場合には、変更届の提出など適切な手続きが必要です。
専任技術者の要件は制度が複雑であるため、申請前に資格や実務経験が要件を満たしているか確認することが重要です。
行政書士法人Besideでは、専任技術者(営業所技術者等)の要件確認から建設業許可申請、取得後の変更届まで幅広くサポートしております。建設業許可をご検討中の方や、専任技術者についてお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
建設業許可についてのご相談は、下記フォームよりお申し込みください。内容を確認のうえ、原則1営業日以内にご連絡いたします。
※当フォームはご相談・ご依頼専用です。営業・セールス目的でのご利用はご遠慮ください。


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